第3章 本は読むな!捨てるな!
p68~99
本との出会いは一期一会
本屋で「ちょっとおもしろそうだな」という本を見つけても、多くの人はまた後で変えばいいやと思ってしまう
よほど明確にほしいものでない限り、後から検索したり、もう一度本屋に足を運んだりするなどの面倒くさいことはしない
本はすぐに本屋からなくなってしまう
いくらいい本でも売れなければ増刷されない
誰かが買ってしまったらもうその本屋に入ることはないかもしれない
書店は、実は商品の入れ替わりが激しい業界
ピンと来た本があれば、買う
本を買う行為は、その情報が欲しかった自分をマーキングすることでもある
その場の思いつき的な「欲望」はすぐに忘れてしまう
その時点でその情報に引っかかった自分の興味を残しておくことは、重要なこと
まだちゃんと言葉になっていないかも知れない曖昧な興味のあり方は本を買っておけば、そのままパッケージすることができるかも知れない
本は読まなくていい
積ん読状態に罪の意識を感じつ必要はない
情報を知りたかった自分をマーキングするために本を買う
そうやって買った本が積まれた状況は、自分が知りたいことや欲望の鏡だと言える
それが目に入るところにあって、日常的にざっと眺めるだけでも、相当な知的刺激になる
積ん読しておくことは、放っておいているように見えて、意味のあること
買ったら全部読んで吸収しないとって思う精神を持っていることが逆にもったいない
基本的に買ったら終了、読むところがあったら儲けもの
SNSをやるかのように、本を読んで見る
目に入った数ページに以外にいい事が書いてあったりする
大前提として本はそんなに神聖なものではない
折り目をつけたり、メモをしたり、付箋を貼ったりしていい
本の中には「ウンコ」もある
本は自分の欲望の鏡だから、その時読みたいものが読むべき本
「みんなが読んでる」「役に立つ」のリコメンドに手を出してしまうのは、ハズレを引きたくないという心理があるように思える
しかし、本の中には間違いなく「ウンコ」なものがある
本は読んで見るまで面白いかどうか、役に立つかどうか、そもそも探していた目的の情報なのかさえ分からない
なので、本を読んでいれば必ず失敗はする
今のようなネット時代には、必要なものだけを見つけ出すことがイケてることになっている
なるべく「ハズレ」の情報は惹かないようにひかないように、目的の情報まで最短経路でたどり着こうとする
すると、本は情報を得る手段としては非常に効率が悪いものになってしまう
効率一辺倒をやめてみる
何が面白いか、何が新しいか、何が役に立つ情報かは、最終的には自分の目や勘が頼り
これを磨くには、結局のところ「どれだけ失敗したか」(「ウンコ」的なものに触れたか)が必要
失敗することを下げていると、判別する能力が育たない
最終的に人の評価に頼らざるを得なくなってしまう
とはいえ、他人の評価を得ることが悪いことではない
最終的な自分のなかの判断基準を持つ必要がある
どのように買う本を選ぶか
どの本を購入するか選ぶ基準の代表的なもので使いこなす
集合知的
リコメンド的
自分の嗅覚
集合知的
今売れているという人気情報にしたがうこと
売上ランキング、不特定多数の評価を調べて、どの上位に来るものはいいものではないかと判断すること
リコメンド的
特定の個人のおすすめを基準にすること
新聞/雑誌/テレビなどの書評、賞の受賞、審査員の好みや評価によるもの
自分の嗅覚
自分の完成で面白いものを見つける
読むまでわからない中で、自分に合った物を見つけ出さなければならない
「ウンコ」的なダメな本に触れて失敗しなければ、嗅覚は身につかない
いまの風潮を見ると、嗅覚の部分が極端に衰えているように感じる
人のおすすめに頼るということは好奇心を放棄すること - 西田善太(ブルータス編集長)
好奇心を放棄してどうするんだ、そこが一番美味しいところだろう
好奇心を満たすため、まだ知らない新しい好奇心を刺激するために本を利用する
使える! ゴダール的読書術
本を全部読む必要はない
基本的に本なは、最初に大切なことや結論が書いてある
「はじめに」、第1章を読めば、著者の言いたいことは書かれているので、ここだけ読んで終了することでもいい
ゴダール → 映画は15分だけ見ればわかる
読書においてもゴダール的手法は使える
ゴダール式読書術 - 永江朗
初めの数ページを読んだり、パラパラと数ページをめくって読んだり、最後のほうからさかのぼって読んだりして、著者が何を言いたいのか、何について書かれた本なのかがわかったら本を閉じて、次の本に向かう
あくまで自分が面白いと思うかどうか、面白いことがあればそれを取り入れるスタンス
本は捨てるな!
本は情報の宝庫
その時代を切り抜いた物といっても過言ではない
ネットで検索する情報は、特定の日時や周辺の物を取り出す感じ
アーカイブとして残る本は、検索で得られる情報とは質が異なる
時間の流れが形として、そのまま現れているから。
書籍にしても、いつ何が役に立つかは分からない
情報は、突然浮上するもの
5年前に読んだ本の情報が突然いま役立つこともある
情報と情報が繋がり合うときというのは、非常に楽しい経験
本棚の効用
一つのところにまとめておく本棚は、自分の思考を可視化できる面で非常に優れている
まるで、検索履歴に似ている
自分の興味や関心が過去から現在にわたってずらりと並んでいる
自分の欲望が生で現れている場所
本棚には、検索履歴が常に一覧性をもって、手の届く場所にある
本や情報は、多面体
本はどこのお店で買っても同じ
しかし、その本が整理の仕方や並べ方で、全く違うものに見えて来る面白さがある
情報は本棚の中で化学変化する
本をとっておくと、ある時自分の書棚の中で化学変化が起きていることに気づく
予想外の物が繋がりを持つ
書棚んい並べられた本は、すでにどこにでも売っている本ではなく、その人の思考の分子のようなものに変わっている
情報の1ユニットになる
並んでいる本棚は、その人の頭の中、知的欲求、知的刺激の可視化された状態
いい本棚には「星座」がある
自分のなかにある情報の航海地図
本棚は人間の脳に似ているかも知れない
本は買われた瞬間、その人の興味の「シナプス」になる
シグナルをでんぱする拠点となるシナプスが増えて、ある繋がりを持った時、新しいアイデアを生み出す装置になる
本を買うことは、知識/興味の拡張でもある